10年後の4月の空

日頃のよしなしごと備忘録

羊 その3

やっと「羊をめぐる冒険」の話。

言わずもがな、ですが、野間文芸新人賞に相応しい作品です。

 

初めて読んだ時、物語の持つ力の大きさに感動、2度目は自然と涙が……。

さすがに3度目は泣かんだろう、と安心して読み始めたものの、結果、2度目よりも涙。

 

自分が歳を重ねて、感じ方や考え方に変化が生じたのか。(よく、こう言いますよね。歳によって捉え方が違う、とか。)

あるいは「変わらないもの」がそこにあったからなのか。

 

この作品はファンタジー作品だと思うのですが、でも、虚構の中に、現実の孤独と悲しみ(哀しみ)が 存在して、こちら側を静かに見つめている……という感じでしょうか。

何の気なしに隠れんぼの鬼探しをしていたら、思ってもいなかったものを見つけてしまった、というか……。

 

こんな短い文で表現できる訳がない。当たり前ですね。

でも、ぜひ、多くの人に読んでもらいたい。

できれば、その前々作「風の歌を聴け」と前作「1973年のピンボール」を読んでからが望ましいのも、言わずもがな、です。